物忘れ、認知症のことなら由布物忘れネットワーク

ゆ!
会長挨拶

『かかりつけ医代表挨拶』  川崎医院 川崎紀則


 厚生労働省の2010年の認知症患者数推計は208万人に達し、2020年には300万人を 超えるであろうと言われています。もはやアルツハイマー病などの認知症はあり ふれた一般病(Common Disease)といってよいでしょう。由布市では認知症の患 者と家族を、地域で支えるための活動「由布物忘れネットワーク」を始めました。

 久しぶりに会った友人の名前がどうしても思い出せないとか、財布をどこに置いた か忘れて探した事など、物忘れを多少なり経験して、とても不安に思っている人は 多いと思います。年相応の物忘れは心配する必要ありませんが、その一部の方はア ルツハイマー病を代表とする認知機能障害の初期である可能性があります。軽度認 知機能障害(MCI)という診断で、これから物忘れが悪化しないかを慎重に観察して いく必要があります。アルツハイマー病を完全に治す方法はないのですが、症状を軽 減し進行を遅らせる薬があり、なるべく早期に治療を開始すれば、高い効果が得られ るという結果が出ています。また適切な診断の結果、治療をすれば治る認知症(正常 圧水頭症、慢性硬膜下血腫、甲状腺機能障害など)もあるのです。

 物忘れが年相応のもので心配いらないのか、または治療が必要な進行性の認知機能障 害であるのかを鑑別する事は意外と難しく、専門医による診断や、かかりつけ医による 日常観察が必要です。また、認知症患者さんの多くは、高血圧や糖尿病、腰痛などの合 併症を抱えているため、内科や外科、整形外科などの先生方も認知症をしっかり理解し て勉強をしなければならないと思います。これからは、認知症専門医とかかりつけ医と は連携してゆかねばなりません。かかりつけ医は専門医と共に、研究会や症例検討会な どで認知症に関して知識を深める事。高齢者に接する機会の多い看護師や介護士、ケア マネージャーたちも、認知症の患者さんを早く発見して、かかりつけ医にすぐに相談で きるようにすること。患者さんを取り巻く医療、介護、福祉、いろんな職種の方たちが お互いに顔のみえる連携を築いていくことが必要です。

 認知症の診療、相談に応じてくれるかかりつけ医、専門医の医師をオレンジドクターと 呼んで、認定プレートを掲示する事にしました。患者さんや家族の方が気軽に相談できます ように活動してまいります。また在宅で認知症患者さんとその家族を支えるために、オレ ンジパスポートという医療、介護連携ツールを作りました。患者さんを囲む医療福祉関係 の方々が、患者さんの病状や治療情報を共有して、よりよい診断や治療、介護に応用でき る事を願っています。